第2回

講義資料(PDF,約2MB):http://akaokoichi.jp/pdf/commedia1.pdf
asin:4334032036:江戸のマスコミ「かわら版」 (光文社新書)]
asin:413020209X:ニュースの誕生―かわら版と新聞錦絵の情報世界]

「近代」に囚われるジャーナリズム史の視点では,「かわら版」は異端視される。発行が不定期,虚偽の事実が多いなどの理由からだ。

しかし,ニュースや活字媒体の本質を考えると,われわれは「かわら版」の世界に呪縛されているとも言える。ニュースを事実の積み重ねではなく,ときに「ストーリー優先・感情/感傷過多」でとらえること,グラビアやピンナップなど活字媒体に「護符的効用」を期待していることなどだ。

讀賣」という「かわら版」の別名を題号に冠した新聞が,1000万部弱の発行部数を持つことを考えればなおさらだ。さらに,「朝日」「毎日」「東京」の3紙が明治期の「小新聞」にルーツがあること,かわら版の他に絵双紙や浮世絵(錦絵)などの活字媒体の伝統があることを考えると,日本人の「新聞観」には,かわら版―小新聞と連なるメディアの歴史が色濃く投影されているとみるのも不自然なことではない。むしろ,現代の新聞を「大新聞」(政論新聞)の延長に位置付けるほうが,居座りの悪さを覚える。